さくらんぼと聞くと、ちょこんと可愛らしい2粒の赤い宝石のような果物が思い浮かぶでしょう。
それと同時に、日本の春を代表する「桜」を思い浮かべる方もいるのでは?
桜(イコール)さくらんぼではないことは多くの方が知っています。
では、何が違うのでしょうか。
そして、さくらんぼの木を育てたい場合、必ず「受粉」作業をする必要があります。
さくらんぼの木は勝手に育ってはくれないのでしょうか?
さくらんぼと桜の違いや、美味しいさくらんぼができるまでを詳しくご紹介します。
桜とさくらんぼの違い
花の「桜」も果物の「さくらんぼ」も、同じバラ科サクラ科の仲間です。
2つの大きな違いは、観賞用か食用種かという点です。
2つの違いについて解説していきますね。
日本のさくらんぼのほとんどはヨーロッパ原産の桜
さくらんぼは「佐藤錦」「紅秀峰」「紅てまり」などが有名ですが、これらは全て「西洋実桜(セイヨウミザクラ)」と呼ばれる食用種に由来しています。
西洋実桜はヨーロッパが原産の桜で、品種改良を重ねたことで今の日本のさくらんぼが生まれました。
例えば日本で最もメジャーな「佐藤錦」は、ヨーロッパで有名な品種「ナポレオン」とアメリカの「黄玉」を交配した品種です。
またさくらんぼの花はソメイヨシノよりも開花が遅く、白い花びらが5枚で構成されているのも特徴です。
ソメイヨシノなどの桜にもさくらんぼが実る?
4月に日本の春を彩る「ソメイヨシノ」などの桜の原産地は確定されていませんが、江戸時代中期から観賞用に栽培されてきたといわれています。
花の色は白やピンクなどで、品種によって色の濃淡が異なります。
花びらは5枚以上で、一重咲きから八重咲きまでさまざまです。
観賞用の桜にも小さなさくらんぼの実はなりますが、成熟するまでに落下してしまう場合がほとんど。
また酸味と苦みでとても食べれるものではありませんので、ご注意ください。
さくらんぼの木は果樹の上級者向け
さくらんぼ(実)は、時期になれば勝手に実をつけるという訳ではありません。
おいしいさくらんぼを作るためには、人が手をかける必要があります。
またさくらんぼの栽培は難しく、上級者向けとされています。
その理由のひとつが、自家受粉できない「自家不和合性」という性質です。
さくらんぼの木が一本では実ができない訳
さくらんぼの栽培が難しいとされる理由のひとつである自家不和合性とは、自分の花粉で受粉しても種子や果実ができない性質のことです。
自家不和合性の果樹は、さくらんぼだけでなくリンゴや西洋梨なども該当します。
そのためさくらんぼの樹を実らせるためには、2本以上の樹と受粉作業が必要です。
さくらんぼの受粉には2本以上の品種が必要
さくらんぼなどの自家不和合性の性質をもつ樹には受粉樹が必要ですが、同じ品種の樹では受粉が失敗してしまう場合がほとんど。
そのため2本以上の品種の樹を用意する必要があります。
しかもその2本の樹は、品種同士の相性のよさや開花時期が同じなど、様々な条件をクリアできなければなりません。
例えば「佐藤錦」を受粉させるためには、「ナポレオン」や「高砂」「紅さやか」などがパートナーです。
受粉率をアップさせるためには、最低でも20%別の品種を園地に植えるのが基本とされています。
ただ、最近では1種類でも受粉できる品種も登場しています。
美味しいさくらんぼや、新しいさくらんぼをお届けしようと、さくらんぼ農家さんの挑戦も続いているのです。
さくらんぼの樹の受粉方法
さくらんぼ農家さんがさくらんぼの樹を受粉する際には、ハチの力を借りる自然受粉か専用の刷毛を使用した人工授粉が一般的です。
自然受粉はコストを抑えられるため理想的ですが、ハチは気温が低いと飛ばない恐れがあります。
とくに開花期が低温だったり、遅霜被害にあったりすると着果に大きな影響を与えます。
毎年確実に一定の収穫量を保つには、自然だけに任せるのではなく時間や手間がかかっても人の手による受粉作業を並行するのが大切です。
さくらんぼ栽培の1年間
さくらんぼはどのような1年間を過ごして甘い実を結ぶのでしょうか。
1年間の様子をご紹介しますね。
9月【肥料散布】
7月に収穫が終わったさくらんぼの樹の健康状態をチェックします。
収穫後の樹は疲れ果てて抵抗力が落ちているため、病気や害虫の被害を受けやすい状態です。
そのため土壌の栄養素を調べ、樹に必要な栄養を散布していきます。
10月~11月【農園の整備】
冬の厳しい寒さが訪れる前に、季節を終えたさくらんぼ農園の整備をおこないます。
畑の整地やハウスの補修、若木の雪囲いなどを終わらせ、次のシーズンに備えます。
1月~3月【冬の寒さは必要条件】
枝を切る「剪定(せんてい)」作業を行います。
伸びすぎてしまったり、枝ばかり混み合っていると肝心の実が育ちません。
また、さくらんぼは、気温7度以下の状態に1600時間程度さらさないと正常に育たない特性を持っています。
そのため山形県など厳しい寒さの土地と、さくらんぼ栽培は相性がぴったりなようです。
4月~5月【交配と受粉】
さくらんぼの花が咲き始めます。
花が咲いたら、さくらんぼ農家さんはミツバチなどのハチの巣箱をさくらんぼ畑に数多く置きます。
先述したとおり、さくらんぼが実をつけるためには他の品種の樹と受粉が必要です。
そのため、ハチにめしべの先に違う品種の花の花粉を付ける「交配」をしてもらいます。
しかし、ハチの動きには天候が大きく左右します。
晴れて暖かい・風もない日には、ハチはよく飛び回ってくれます。
しかし、寒かったり雨が降ったりするとハチは飛びません。
そのため、ハチの替わりに人の手で花粉を付ける受粉作業が必要です。
小さなさくらんぼの花に、羽毛で作られた毛バタキで花粉をひとつひとつ付けていく、とても大変な作業です。
さらにこの時期、畑の雑草も刈ります。
さくらんぼが病気にならないように消毒も行われます。
5月の梅雨前の時期には、ビニールで覆って屋根を作ります。
雨でさくらんぼの実が割れるのを防ぐためです。
目に見えない小さな穴に水が入り込むと、ふくらんでさくらんぼの実がパンクしてしまうのです!
他にも、ムクドリなどがさくらんぼの実を食べようとやってきます。
さくらんぼ農家さんは、網を張るなど様々なムクドリ対策を行ってさくらんぼを守っていくのです。
また、さくらんぼの実をできるだけ大きく育てるために、実り過ぎた果実は切ってしまう「摘果(てきか)」を行います。果実の間引きのことです。
収穫量に関わってきますので、どの程度行うかは、プロの農家さんの腕次第です!
手間をかけて育ててきたさくらんぼも、いよいよ収穫を迎えます。
6月~7月【収穫】
さくらんぼは追熟しないため、真っ赤に成熟したら収穫のタイミングです。
贈答用の収穫期は6月中旬から7月中旬までの3週間程度しかありません。
またさくらんぼが最も美味しい状態は、収穫直後がピーク。
農家さんたちは食べ頃のさくらんぼを見極め、痛まないように丁寧に収穫しながら全国に出荷します。
日本一のさくらんぼ名産地は山形県!
日本一のさくらんぼの名産地といえば、山形県です。
栽培面積は約7割。
生産量は全体の4分の3も山形県で占めているほどです。
山形は冬の寒さが厳しく、梅雨や霜の被害が少ないため、さくらんぼにとって理想的な栽培環境のようです。
初夏になると(6月頃)山形県ではさくらんぼの収穫・出荷で大忙しになります。
可愛らしいさくらんぼの粒を収穫し、箱詰めする様子は山形県の風物詩といえるでしょう。
まとめ
さくらんぼの特性や、桜との違い、美味しいさくらんぼができるまでの育て方を紹介してきました。
さくらんぼはひと口で終わってしまう小さな果実。
だからこそ、そのひと口が「美味しい!」と思っていただけるように、さくらんぼ農家さんは作り続けているのです。
アンスリーファームのさくらんぼは「美味しい」をとことん追求
私たちアンスリーファームは、常に「美味しい!」と感動をお届けできるようにさくらんぼを育てています。
初めての方でも安心して購入してもらえるよう、安心と品質の保証付き!
ぜひ6月には、アンスリーファームの上質なのさくらんぼを食卓にお迎えください。
さくらんぼの予約は、11月から開始しております。
詳しくは下のさくらんぼからオンラインストアへどうぞ♪