近年国内で、農家さんの高齢化や後継者不足が問題になっているのを知っている方は多いでしょう。
しかし農業の担い手の減少が食料自給率の低下だけでなく、耕作放棄地増加につながるというのはご存知ですか?
耕作放棄地の増加は、害虫増加や水害など深刻な問題を引き起こします。
この記事では離農による耕作放棄地の問題と、耕作放棄地などを再利用して地域や農業に還元するアンスリーファームの活動について紹介しますので、ぜひチェックしてくださいね。
農家の平均年齢は68.4歳…深刻な農業従事者減少と高齢化
農業従事者の高齢化や人口減少により、毎年農業従事者の平均年齢は上がり続けています。
5年ごとの基幹的農業従事者の推移は、以下のとおりです。
農林水産省の調査によると、2022年の農業従事者の平均年齢は68.4歳。
年齢構成も70歳以上の層が最も多いため、今後農業者が大幅に減少するのは確実でしょう。
農業従事者が減少すれば当然作物の生産量も減り、海外からの輸入に頼ることになってしまいます。
また農家の減少により食料自給率の低下以外で問題になるのが、「耕作放棄地」です。
高齢化などによる耕作放棄地の増加
「耕作放棄地」とは、農林水産省が農林業センサスで使用する用語で、「以前耕作していた土地で、過去1年以上作物を栽培せず、しかもこの数年の間に再び耕作する意思のない土地」という意味です。
農林水産省耕作放棄地が発生する主な理由は、以下の3つです。
➀高齢化・農業従事者不足
②土地持ち非農家の増加
③農産物価格の低迷
農業従事者の減少や離農してしまう農家さんが増加しているため、放置される耕作地が増え続けています。
耕作放棄地の増加は、農作放棄地近くで農業を続けている農家さんや近隣に住んでいる人々にとって多くのデメリットになります。
耕作放棄地の増加の問題点は何?
農作物を育てずに放置された土地が増加すると、食料自給率が下がる以外に4つの問題が発生する恐れがあります。
➀雑草や害虫の発生による周囲への悪影響
②耕作放棄地へのゴミの不法投棄
③洪水などの災害時の危険性の上昇
④猪など野生動物の餌場になる
ひとつずつ詳しく解説しますね。
➀雑草や害虫の発生による周囲への悪影響
耕作放棄地は、その名の通り放棄されている土地のため、除草などの手入れもされていないケースがほとんどです。
そのため雑草が生い茂り、人や作物に害がある虫も発生しやすい状態です。
発生した害虫は隣接している耕作地にも移動するため、作物を枯らしたり、駆除に手間やコストがかかったりと、周囲の農家さんたちに多大な被害をもたらす恐れがあります。
②耕作放棄地へのゴミの不法投棄
耕作放棄地は人目も少ないため、ゴミの不法投棄がされやすい土地です。
ゴミの不法投棄は景観を損なうだけでなく、害虫が発生しやすくなったり、土壌を汚したりとデメリットだらけです。
その土地をもう一度再生利用する際にも、ゴミを処理する労力やコストがかかってしまいます。
③洪水などの災害時の危険性の上昇
田畑は作物を育てるだけでなく、雨水を一時的に貯める機能があるため洪水の防止や軽減が期待できます。
しかし貯水機能は農作業を継続している場合にのみ使えるため、手入れのされていない田畑には洪水を防ぐ力がない場合がほとんどです。
そのため、昔は大雨や台風の際に被害がなかった土地でも浸水や冠水の被害に合う危険性が高まり、周辺の人々の命が脅かされる恐れがあります。
④猪など野生動物の餌場になる
人目や手が行き届いていない土地は、猪や鹿などの餌場になりやすいという問題があります。
耕作放棄地には食料は少ないですが、そこを拠点に周辺の農作物を食い荒らしてしまうため、農家さんたちに多大な被害を与える恐れがあります。
野生動物からの被害を防ぐための装置を設置するのも、手間やコストがかかるため農家さんたちにとって大きなダメージといえるでしょう。
耕作放棄地問題への国や都道府県の取り組みは?

耕作放棄地の問題を解決するために、国や都道府県では主に3つの取り組みをしています。
➀農地中間管理機構(農地バンク)の設定
②耕作放棄地再生利用への交付金や優遇措置支援
③農業経営・就農支援センターによる経営発展支援
ひとつずつ詳しく解説しますね。
➀農地バンク(農地中間管理機構)の設定
農地バンク(農地中間管理機構)とは、平成26年に全都道府県に設置された農地専門の不動産屋のような機構です。
農地バンクの主な役割は、以下の2つです。
➀耕作放棄地を持っている人や離農したいなど農地を貸したい人から土地を借り受ける
②新規就農希望者や農業参入希望者に貸付する
貸し手は農地バンクに登録することで借り手を探してもらえ、契約が成立すれば契約賃料や協力金が手に入ります。
借り手は、貸し手との交渉が省ける点がメリットです。
また農地バンクは耕作放棄地への対策だけでなく、農業への新規参入を容易にする目的があるため、比較的良い条件で土地を借入できるでしょう。
②耕作放棄地再生利用への交付金や優遇措置支援
耕作放棄地を再生利用する場合、国や地方自治体によって金銭的な支援を受けることができます。
例えば国からの助成金「耕作放棄地再生利用緊急対策交付金」は、耕作を行った土地10aにつき2.5万円の助成が受けられる(初年度のみ)など、再生利用にかかる費用のいくつかを補助が可能です。
当園がある山形県では、「やまがた農地リフレッシュ&アクション事業費補助金交付」という支援制度があり、補助対象経費の4分の1に相当する額を助成しています。
参照:山形県「令和5年度やまがた農地リフレッシュ&アクション事業費補助金交付要綱」
③農業経営・就農支援センターによる経営発展支援
各地方自治体では、農業の担い手の育成や確保のために就農や農業経営を支援するセンターを設置しています。
主に各地方自治体で新しく農業を始める方が対象で、スムーズに経営できるよう、相談や各種研修の実施や就農地域への定着支援などのフォローを受けられます。
新規就農者が増えれば、必然的に耕作放棄地も減少するでしょう。
アンスリーファームは耕作放棄地や離農農家の土地を再利用

山形県の寒河江市に果樹園を構えるアンスリーファームでは、耕作放棄地やリタイアした農家さんの土地を積極的に再利用。
荒れた土地を整備することで害虫や野生動物の増加を抑え、当園だけでなく周辺の農家さんへの被害を未然に防ごうと奮闘しています。
また雑草が鬱蒼として人の目が届きにくい土地を整備することで、街の景観維持や防犯対策にも繋がります。
耕作放棄地の再利用には手間もかかりますが、私たちが地域に還元できる方法のひとつとして尽力中です。
もちろん果樹園が拡大すれば果物の生産量も増えるため、多くのお客様に当園自慢の果物を提供できるのもメリットといえます。
有機肥料中心の栽培で次世代へ豊かな自然を引き継ぐ

当園では耕作放棄地をただ再利用するだけでなく、次世代へ豊かな土壌を引き継ぐために有機肥料中心の栽培をおこなっています。
化学肥料は即効性があり大変便利ですが、土壌を育てる力はなく、長期間使い続けると作物が育ちにくい土地になる恐れがあります。
有機肥料はコストや時間はかかりますが、土壌を豊かにする機能があり、自然のサイクルを乱しません。
数十年後も豊かな自然を残し、品質の良い果物をお届けするために、当園はこれからも土壌づくりに力を入れてまいります。
化学肥料・除草剤を使用しないアンスリーファームの栽培方法をもっと知りたい方は、ぜひ下記の記事をチェックしてくださいね。
まとめ
農業従事者不足は、日本の国内自給率を維持するために国をあげて取り組むべき問題です。
それに追従する耕作放棄地増加も、害虫や水害の発生などデメリットばかりなため、積極的に改善していく必要があります。
当園では耕作放棄地を再利用し、生産力の向上だけでなく地域の自然や農業を守っていくために尽力しています。
当園が数十年先も自然の恵みをたっぷり受けた果実を提供するためだけでなく、日本の農業の活性化に繋がって欲しいというのが私たちの願いです。
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